なぜ”頑張る人”ほど免疫の土台が削られるのか

免疫の土台

——LPSとは何か、免疫ビタミンと呼ばれる理由

責任を持って動き続けている人ほど、ある時期から「以前より回復に時間がかかる」と感じ始めます。

睡眠は取れている。食事も極端に乱れているわけではない。それでも、疲れが抜けにくい。不調が続く。風邪をひきやすくなった。

これは、意志や根性の問題ではありません。体の「土台」が静かに削られていることのサインです。

目次

免疫の土台とは何か

人間の体には、外部からの脅威に対応するための防御システムが備わっています。これが免疫です。

免疫には大きく2種類あります。生まれつき備わっている「自然免疫」と、病原体を記憶して対応する「獲得免疫」です。

多くの人が「免疫力」という言葉でイメージするのは獲得免疫ですが、実はその土台を支えているのが自然免疫です。自然免疫が機能していなければ、獲得免疫も正しく動けません。

つまり、免疫の土台とは自然免疫のことです。

マクロファージ——自然免疫の司令塔

自然免疫の中心的な役割を担うのが「マクロファージ」です。

マクロファージは体内をパトロールし、異物や老廃物を発見して処理します。同時に、他の免疫細胞に「異常あり」という信号を送る司令塔でもあります。

疲れているときに風邪をひきやすい、傷の治りが遅い、肌荒れが続く——こういった状態は、マクロファージの働きが低下しているサインである可能性があります。

問題は、マクロファージは「活性化する刺激」がなければ、徐々にその機能を落としていくことです。

では、マクロファージを活性化するものは何か。そのカギを握るのが「LPS」です。

LPSとは何か——免疫ビタミンと呼ばれる理由

LPS(リポポリサッカライド)は、土壌や植物に共生するグラム陰性細菌の細胞壁成分です。野菜の皮、玄米の糠、海藻、きのこなどに多く含まれています。

「免疫ビタミン」と呼ばれるのには理由があります。ビタミンと同様に、健康維持に不可欠でありながら体内で合成できず、外部から継続的に摂取する必要があるからです。

LPSはマクロファージの表面にある受容体に結合し、免疫システムをスタンバイ状態に整えます。非常に少ない量でもマクロファージを活性化できることが知られており、これも「免疫ビタミン」と呼ばれる理由のひとつです。

現代人がLPSを摂りにくくなった背景

人類は長い歴史の中で、土壌や自然環境と接触しながらLPSを日常的に摂取してきました。農作業、土遊び、皮付きのまま食べる野菜——これらがLPSの自然な供給源でした。

しかし現代では、精製・加工食品が増え、土や自然と接する機会が減ったことで、昔よりLPSを摂りにくい食環境になっています。

食事が豊かになったにもかかわらず、免疫の土台を支える成分が不足しやすい時代になっているのです。

土台を補うという考え方

頑張る人ほど消耗が激しい。それは事実です。

しかし消耗していること自体が問題なのではなく、消耗したものを補わずに走り続けることが、やがて「回復できない状態」を作り出します。

玄米、めかぶ、レンコン、きのこ類——こういった食材を意識的に取り入れること。それが崩れずに進み続けるための基礎です。

土台を整えることは、休むことではありません。

崩れないために、特別なことをする必要はありません。削れたものを、日々、静かに補い続けること。

それが、「戻れる身体」をつくる土台になるのだと思っています。

山門良子


「休んでいるのに疲れが抜けない」——そんな感覚については、こちらの記事でも書いています
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